2021年3月14日  脳は過去と現在を区別できない

私たちは、過去に起きたことは過去のことと客観的に見ているつもりになっています。

しかし、カウンセリングをしていると、過去の出来事がまさに目の前で起きているかのように、ありありとその場面を再現しているのが分かることがあります。

カウンセリングの場面でなくとも、過去の出来事を思い出してムカムカしたり、イライラしたりした経験はお持ちだと思います。

過去に起きた嫌なことを、何度も何度も思い出して否定的な状態になっていることは、非常にストレスになりますね。

それは今起きている現実ではありません。

しかし、その感情は、嫌なことが起きた時と同じように生理機能への影響を与えます。

ホルモンのバランスが崩れたり、マクロファージやナチュラル・キラー細胞など私たちの身体を守ってくれている免疫機能が低下したりしてしまうのです。

このように私たちの「脳」は、過去と現在をきちんと区別できずに同じように反応してしまいます。

NLPのトレーニングを受けたときに、過去に起きたことを現在形にして表現するというワークがありました。

どのような意味があるのか飲み込めないまま始めましたが、あることに気づきました。 

過去に起きたことは終わったことと思い込もうとしている自分がいたこと。

でも、何十年も経ったその時も、まだ怒りを抱えていたことです。

頭の中できちんと整理して、否定的な気持ちを手放すことが大事だなと思いました。

ということは、未来も脳は区別できないはずです。

これからやりったら、あたかも手に入れたかのように頭の中で想像してみれば良いのです。

その状況を目で見て、聞こえる声や音を聞いて、ワクワク感や達成感などを実際のように感じてみるのです。

NLPのテクニックに「アズイフフレーム」というものがあります。

効果抜群のテクニックです。

目標を決めたら、ぜひこのテクニックをやってみてください。

実現に向けて、一歩前進です。

 2020年7月17日  感覚の鋭敏性を研ぎ澄ます

私たち人間は、五感を使って外部の情報をキャッチしています。

五感とは、

視覚 :目で見る景色、文字、映像など。
聴覚 :耳から聴く音、声など。
体感覚:皮膚で感じる温度、痛み、硬さなど。
臭覚 :匂い。
味覚 :味。
の五つです。

その五感を通して、常に物凄い量の情報が入ってきているのですが、私たちはその中から無意識に自分の欲しいものだけを選択して使っています。

例えば、お腹が空いているときに街を歩いていると、レストランや食材を扱ったお店がやけに目に入りませんでしょうか?

そして、食事を済ませて満腹になった途端にそれには意識がいかなくなるという体験もあると思います。

例えば何か興味のあるものの情報はキャッチしやすくなっていませんか?

花の好きな人は、どんな小さな花でもパッと見つけます。かすかな匂いでも敏感に気づきます。

逆に関心のない人は、物凄く綺麗にアレンジした花器が置いてあっても目に入りません。

勉強についても同じです。

歴史で「古代ローマ」に関心のある人であれば、その内容に関連した情報が次から次へと入ってきます。

本の表紙にローマに関する写真があればすぐ手にするでしょう。新聞の記事にローマに関した文字が躍っていれば、すぐに目が止まります。テレビでローマに関した内容を放映していれば、その言葉に反応するでしょう。

「意識的」になる。

「意志」を持つ。

これら自分でコントロールすることが「感覚の鋭敏性」を高めるには役立ちます。

今まで、無意識に使っていた五感を、意識して使うようにしてみてください。

これまで気づかなかった、様々な情報が入ってくるはずです。

そして、「ちょっとした出来事を『偶然』にしないこと」ということも大切です。

これも自分の意志を使って行うことですね。

さて、この感覚の鋭敏性を高めることは、自分自身の内的な情報もキャッチしやすくなります。

内的な情報」は意識していない人も多いはずです。

しかし、何かを思い出すときには、五感をフル動員しています。

子どもの頃の記憶をたどるとき、映像を思い出し、その時の友達の声を聞き、手を繋いだ感覚が蘇ってくる・・・・

そして、一緒に食べたお菓子の甘い香りや舌触りなど、外からの情報と同じように五感を使って思い出しています。

脳が記憶しているのですね。

梅干やレモンを思い浮かべると唾液がジュワっと出てくるのが同じ機能です。

ですから、過去の嫌な出来事をよく思い出してしまう人は注意して下さい。

その時の情景をありありと思い出してしまうことは、脳がそのときと同じ反応を起こします。

怒りや悲しみを感じているのであれば、その際に起きた同じ生理機能を起こしています。

もう終わってしまったことなのに、何度も何度もストレス反応を起こしている訳です。

反復を中断することを意識してください。

逆に、未来の手に入れたい「目標」があるときも、この脳の反応を利用できます。

その「目標」を五感をフルに使って、ありありと体験してみて下さい。

あたかも、既に、手に入れたかのように、周りの情景を見て、聴いて、そのときに味わうだろう素敵な感覚に浸る。

これを少し時間をかけてやっていると、本当に目標を達成したような気分になります。

そして、何度もそれを繰り返していると具体的な戦略や行動もイメージできてきます。

NLPの「目標の明確化」「アズ・イフ・フレーム」などのテクニックを実施する際は、この五感をフルに使うことが、より効果をあげます。

もうひとつ、五感をフルに使って、ありありと体験する内的な作業にイメージトレーニングがあります。

スポーツ選手が実際に競技をする前に、頭の中でイメージを繰り返すものです。

このとき、筋肉などの生理機能も実際と同じように働くそうです。

イメージトレーニングを行って効果を得たスキー、バスケットボール、野球、テニスなどの選手の話をテレビで見たことがあります。

実際に身体を動かして行う練習と合わせて行うことが重要だそうです。

 2020年5月22日  現実と思い込み

自分が現実だと思っていることが、実は事実とは程遠い思い込みやカン違いだったということは無いでしょうか。

「人はもの事を自分が見たいように見ると」いうことがある心理学の本に書かれていました。

過日、TVで「妖怪は実在するのか?」という実験番組を見ました。

その実験によると、被験者10人うち8人、9人が「妖怪がいた」と報告しました。

その正体は、紐で吊るされた瓢箪だったり(のっぺら坊)、川のせせらぎの音だったり(小豆洗い)でした。

その人が、その人の思考や経験のフィルターを通して事実だと思っているのだが、事実はまったく別ということは、世の中にたくさんあるのだろうなと思います。

NLPの言語モデルに「メタ・モデル」というスキルがあります。

現実を見たり聞いたりした後、自分の頭にインプットし、その後それを言葉で表現する際には、省略や歪曲、一般化など、いろいろなことが起きているので質問をしてそれをカバーしましょうというものです。

 例1「・・・・するのが当然でしょ」

   → 誰が決めたの?

 例2「・・・・するのは筋が通らない」

   → その筋って、誰にとっての筋?

質問することで、話や考えていることの食い違いは随分と解消できます。

「あれ?」と思ったら、すぐ質問して溝を埋めましょう。
 2020年5月5日  NLPで人生プログラムを更新

私が長年学んできたNLP(神経言語プログラミング)は、パソコンのプログラムに喩えることができます。

いろいろと練習していく過程でNLPは古くなって使い勝手が悪くなったプログラムを使うのを止め役に立つ新しいプログラム、より効果的なプログラムに差し替えるのと同じだなあと思いました。

パソコンなら、それによって仕事の効率がよくなったり、より綺麗なホームページや宣伝用のチラシを作れるようになります。

しかし、それを使いこなすには、やはり「練習」と「慣れ」も必要です。

インストールしたら即使えるようになる訳ではありません。

NLPも同じです。

どのような課題達成に役立つのか、どのような問題解決に役立つのか頭で理解しても、すぐには実際に使えるようになりません。

やはり何度も練習して、スムーズに使えるようになるのです。

よく「NLPを学んだら何でもすぐに問題をクリアできる」ような話しを聞いたり読んだりしますが、そんな魔法のようなことはありません。

普段何気なく乗っている自転車も同様です。

最初は意識してもなかなかうまく乗れません。

だんだん意識はしているが上手に乗れるようになります。

そして意識せずとも上手に乗りこなす段階まで上達していきます。

誰でも練習によって、意識しなくともスイスイと乗りこなすことができる「無意識的有能」の域まで達することが出来るのです。

今から20年前にNLPのマスターコースで学んだ「メタプログラム」という手法が、今、自分のパターン分析や人間観察に役立っています。

メタプログラムは60種類くらいあるのですが、その中のモチベーションの出方を見るものです。

何か達成したい目標があるときに、どのような行動・思考のパターンを示すかが人によって違います。

その目標に向かって、どうしたら達成できるか、どうしたらより良くなるかを考えるのがひとつのパターンです。

もうひとつは、達成したい目標は同じでも、どうしたら失敗を回避できるか、どうしたら安全かを考えて実行するタイプです。

私は後者であるのがマスターコースで分かりました。

何故かと考えてみて思い当たる節がありました。

子どもの頃から父親に「後悔先に立たずだぞ!」とよく言われていたのです。

本来の意味は「後悔する前に備えよう」ということなのですが、私は「失敗してはいけない。

失敗しないように万全を期す」という意味で受け取ってしまいました。

それを更に強化する体験がありました。

母親から「のろい、愚図」などと言われていた自分が中学校でコツコツと陸上の練習を重ねるうちに良いタイムが出たのです。

高校ではバレーボールをしていたのですが、やはりコツコツと練習することで3年生の時には相手のブロックの上からスパイクを決めることもあるくらい上達しました。

人生は「コツコツ」が大事なんだという信念が強化された訳です。

しかし、何か目標を持って行動するときに、失敗を回避するパターンが身についてしまっていました。

そして「完璧でなければならない」という思い込みも重なります。

成功する保障がなければ挑戦しなくなってしまったのです。

NLPのメタプログラムでは「アウェー」というのですが、挑戦しないための言い訳だったなあとある時気づきました。

挑戦することで次の展開、新しい展開、転機が掴めるのに、それを避けていた自分に気づいたのです。

無鉄砲な挑戦はしませんが、気づく前と後では行動や思考のパターンが大きく変わりました。

NLPのおかげです。

そして気づいた後、練習することで意識的有能までは来たと思います。

無意識的有能の域まで行きたいと思うこの頃です。


 2020年3月16日  感情と上手につきあう法

ジェットコースターに乗ったことがあると思います。

その際の経験を思い出してみて下さい。

そのときに次の2つの方法を試して下さい。

ひとつは、座席に座り安全バーをおろし、まさに自分がジェットコースターに乗っているかのように思い出すやり方です。

主観的です。

ありありと実感できるでしょう。

人によっては手に汗を握っているかもしれません。

もうひとつは、ジェットコースターに乗っている自分を遠くから眺めているというやり方です。

この方法では客観的でいられます。

手をツッパっている自分が見えたり、目をしっかりとつぶっている顔が観察できたり、あたかも他人事のように見ている自分がいます。

落ち着いて観察している自分が分かると思います。

この例からも分かるように、客観的になることができれば、感情と上手くつきあえるようになります。

客観的になるためにはNLPの「サブモダリティ・チェンジ法」などを活用するとよいでしょう。

例えば見えるものについて考えてみましょう。

視覚的なイメージの出てきやすい人に聞いた情報です。

楽しいことを思い出すときは、映像がカラーで動いており周りには人がたくさんいるそうです。

あたかもパノラマ写真の中にいるかのように思い出すそうです。

反対に怒りや悲しい場面を思い出すときは、白黒で暗い場面が出てきます。

目の前の狭い範囲に静止した映像として見えます。

意識がそこに集中しています。

このようにカラー対白黒、動画と静止画、パノラマと一点集中のようにいろいろな要素があります。

この要素を頭の中で変化させることを「サブモダリティ・チェンジ法」といいます。

制御が難しい感情に浸っている時には、目の前にありありとその場面を思い出していることが多いものです。

その場面をサブモダリティ・チェンジしてみましょう。

まず場面が動いていたら止めて下さい。

リアルなカラーに見えていたら、それを白黒に変えます。

そして見えている場面を少しずつ遠くに追いやっていきます。

地平線のあたりまでどんどん遠くに追いやって下さい。

これだけのことで、かなり否定的な気分から抜け出ることができるはずです。

この他にも、見える位置を変える、大きさを変える、早回しにするなど様々な方法がありますので試して下さい。

感情と上手につきあえるようになると、自分の持っている能力をより発揮できるように
なります。

思い出して否定的な状態に浸っているときのエネルギーを効果のあること、必要なことへ振り向けることができるからです。

(実感したい方は、NLPセミナーを受講されるといいと思います)


 2019年12月25日  タイムライン・未来の選択

「本気」か「願望」かの違いを自分の心に聞く方法として、NLPタイムラインが活用できます。

タイムラインは、頭の中で作り出している「過去から現在、そして未来に続く自分の歴史」の時間軸です。

まず未来のある時点を想像します。

そこは分かれ道になっています。

左へ行くと「本気」に関わった場合の未来A、右に行くと「願望」のままでいた場合の未来Bです。

未来A、未来Bに到達した場面をそれぞれイメージします。

●まずは、未来Aにいる自分をイメージし、あたかもその場にいるかのように周りの状況を見て下さい。

どんな場所か? 

誰といるか? 

どのように自分は振る舞っているか? 

●何が聞こえるかに注意を向けます。

音楽は聞こえますか? 

人の声は聞こえますか? 

他に聞こえるものはありますか? 

●その時、身体の感覚はどうか? 

感情はどのように感じているか? 

十分に味わうことが出来たら、その状態を中断(ブレイク・ステート)します。

次は、未来Bにいる自分をイメージし、あたかもその場にいるかのように周りの状況を見て聞いて、感じて下さい。

イメージを終えたら、いま現在の意識に戻ります。

そして、未来A、Bどちらを選択するのが、自分にとって役に立つものなのかを冷静に考える時間を作ります。

未来Aの「本気」を目指す人もいるでしょう。

様々な影響を考慮(エコロジーチェック)して、結局未来Bを選ぶ人もいるでしょう。

それは、その人の大事にしている価値観、信条があるので、良い・悪いの問題ではありません。

このテクニックで行うテーマは、「やるVSやらない」「止めるVS止めない」など対立する2つの選択肢を決めなければならない時に役立ちます。

自分で納得いくよう、客観的に見られるトレーニングとして活用して下さい。
(NLPは脳の使い方のチェンジ法です)

 2019年12月20日   アバター症候群

10年くらい前に、脚光を浴た3D映画「アバター」はご覧になりましたか?

アバターは「衛星パンドラ」という舞台とそこに生息する種族「ナヴィ」が主人公の映画です。

本当に神秘的で、屋久島かどこかの原生林の中にいるかのような錯覚を起こしました。動植物など自然との共生がテーマだと感じました。今の地球に必要だと思います。

さて、私たちが何かを「体験」するというのは視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触運動覚など五感を使っています

私がトレーニングを受けたNLP(神経言語プログラミング)では便宜上「味覚・嗅覚・触覚」をひとまとめにして「体感覚」(K)」と呼びます。視覚(V)、聴覚(A)と合わせて「VAK」と言います。

この映画アバターでは、この「VAK」を駆使してリアル感を増幅しているよいうに感じました。

さて、知人から「アバター症候群」なるものが発生しているというメールをもらいすごく驚きました。

あまりにもリアルなために、映画が終わったあとも現実世界になかなか戻ることのできない症状だそうです。 それをきっかけにうつ症状になる人もいるというからそれもまた驚きです。特にアメリカ人に多く発生しているらしいです。

八百万の神が住むという日本では、少なくなったとはいえまだまだ自然との共生が残っているので、そんなに多くはないのかもしれません。 私の場合、日本人だからなのか映画は映画で、見終わった後は現実世界にすぐに戻れたましたが・・

さて、TVゲームなどバーチャルの世界がどんどんリアルになってきているので、教育や娯楽の部分で非常に役に立つと思います。楽しみでもあります。

しかし、今の子どもやこれから生まれてくる子どもは要注意だと思います。現実とバーチャルの区別を意識できるよう親や大人がかかわる必要を感じます。

特に怖いと感じているのは「人は一度死んだら生き返らないという事実」が理解できない人が増えてしまうことです。

ゲームでは、一度ダメージを受けて死に至ってもリセットすると、同じキャラクターがまた復活してきます。生身の人間は違うのだという現実をちゃんと教えることも必要だと感じています。

リアル過ぎるが故の不安なのです。

  2019年11月29日   努力に逃げない

「努力すること」これは人にとって大事なことですし、褒められることだと思います。
子どもの頃は、努力する姿を見て大人は褒めてくれました。
成果が出ても出なくても自分の設定した目標に到達しても到達しなくてもです。

仕事の世界ではどうでしょうか? 
確かに努力することは大事な姿勢です。
しかし、成果の出ないやり方、目標に少しも近づかないやり方を必死にやることはいかがでしょう?

「努力する姿」をポーズとしてやっている人を過去に何度か見ました。
考えていることを口に出したり、さも何か気づいたかのようなポーズをしてみせたり、たくさんの資料を机の上に広げたり・・・・。
それを人に見えるよう大げさにするのです。

この場合は「サボっていると思われないようにしよう」という「やっている振り」になります。
人からの評価を気にして意識的にやっている行為です。
子どもっぽいですね。
そして、そういう行動は他者からは丸見えです。
自分自身をごまかしていることにもなります。

NLP、交流分析などの心理学のワークショップでは、そのような行動の背後にある肯定的な意図を探ることも行います。

そうすることはどんな役に立っているのでしょうか?
それによって得られるメリットは何ですか?」などと質問をして、本人にその意図を気づかせるものです。

そんなポーズをしていないで、実際に何が必要かを考え、足りないものがあれば、素直に他者に援助を求めるなど他の行動ができるように成長できれば、もっと生き方が楽になると思います。

また、ちがった角度から見ると「努力に逃げている」ということも考えられます。
結果は悪くともやるだけのことはやったという言い訳になりますから。
これは無意識にやっている場合も多いのではないでしょうか。 

私も以前は「コツコツとやる」「手を抜かない」などを信条にしてきました。
もしかするとこのような隠れた無意識の意図が働いていたかもしれません。

本当に好きなことをやる時は、ご飯を食べる時間さえも惜しんでいる自分がいます。
皆さんもそうなのではないでしょうか?
そして、そういう時は「努力している」とは感じませんし、人にもそう言わないのではないでしょうか?

極論かもしれませんが「努力はイヤなことをイヤイヤすること」なのかもしれません。
テーマとして書いた「努力に逃げない」は、楽しく、ワクワクした状態で成果のあがる方法を考え抜くためのメッセージだと感じています。

  2019年11月6日
 「オートクライン」を働かせることを意識した会話技術

自分の耳に最も心地よく響き、すんなりと受け入れることができるのは何だと思いますか。それは自分自身の「声」だそうです。

そして、考えがまとまっていなくても、口に出してしゃべっているうちに考えがまとまっていくという経験をされたことはないでしょうか。このような自分自身の言葉の循環作用を「オートクライン」と言います。ですから、自分の思いを形にしたかったら他の人とのコミュニケーションが最も有効な訳です。人と言葉を交換することで「オートクライン」が働き始めるからです。

一人きりで家にこもって、ああでもない、こうでもないと考えあぐねているより、誰かを呼んで会話する。これがメンタルヘルス的にもいいし、自分の考えをまとめる最適手段と言えそうです。

「聞く」ことを通じて、相手の言葉を引き出し、そして深め、展開させる。そうやって、相手が「オートクライン」によって自分が何を主張したいか、何に悩んでいるのかに気付くお手伝いをするのがコーチングであり、カウンセリングだと考えられます。いかに多くしゃべってもらうかがポイントのようです。

しかし、ただ多くをしゃべればいいという訳でもありません。話しを収束させるために必要なスキルのひとつとして「出来事」や「考え」と「感情」を分けることが役立ちます。事柄をたくさんしゃべる方は、この「出来事」「考え」「感情」がごちゃまぜになってしまっている場合があるからです。

その場合は、事柄を要約しその時の感情に焦点をあてる会話をすると、ポイントが定まってきます。まず「いろいろと話してくれたことは、まとめてみるといくつかのポイントがあると思うんだけど、何と何だと思う?」と聞いてみます。そして、相手がいくつかのポイントにまとめてくれたら、「○○があって、○○が起こったんだねえ。じゃ、その時に、あなたはどのように感じたの?」のように、聞いてあげます。

感情が分かると、誰に対して怒っているのか、何に対して期待はずれだったのか等が明確になってきます。それによって、解決方法やアプローチする相手がはっきりとします。「オートクライン」をうまく活用するためには、ちょっとした質問のスキルも身につけておくといいですね。

 2019年10月29日 わかったものを使う

上田惇生氏の「ドラッカー入門」(ダイヤモンド社)に表題の文章が載っていました。私が長く学んできたNLPの立場とよく似ています。その部分を引用します。
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「わかったものを使うことである。
とくに、当初予期せずにわかったことを使うことである。
原因や理由はわからないままでもよい。
学者に付き合って原因の解明を待っている暇はない。
いずれにせよ、理論は体系化はしても創造することはない。
重要なことは、わかったことを使って行動することである。」
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NLPのトレーニングを受けているときに、「なぜ、このスキルは上手くいくのか?」「人間の機能とどのように関連しているのか?」などの知識をしりたくて質問を繰り返す仲間がいました。
そのとき先生は「うまくいくから使っているだけ。理由を知りたければ自分で調べるといい」と言っていたのを思い出しました。

「どのようにやったか」を記録しておけば再現性があります。
同じような事例が出てきたときには、同じステップでやってみる。
それが効果的であれば、繰り返す。
こうやって、役に立つスキルを集積していけばいいと思います。
なぜ、そうなるかが解明されれば、もっといいと思いますが。

 2019年10月21日 脳は過去と現在を区別できない

私たちは、過去に起きたことは過去のことと客観的に見ているつもりになっています。

しかし、カウンセリングをしていると、過去の出来事がまさに目の前で起きているかのように、ありありとその場面を再現しているのが分かることがあります。

カウンセリングの場面でなくとも、過去の出来事を思い出してムカムカしたり、イライラしたりした経験はお持ちだと思います。過去に起きた嫌なことを、何度も何度も思い出して否定的な状態になっていることは、非常にストレスになりますね。

それは今起きている現実ではありません。しかし、その感情は、嫌なことが起きた時と同じように生理機能への影響を与えます。ホルモンのバランスが崩れたり、マクロファージやナチュラル・キラー細胞など私たちの身体を守ってくれている免疫機能が低下したりしてしまうのです。

このように私たちの「脳」は、過去と現在をきちんと区別できずに同じように反応してしまいます。

NLPのトレーニングを受けたときに、過去に起きたことを現在形にして表現するというワークがありました。どのような意味があるのか飲み込めないまま始めましたが、あることに気づきました。過去に起きたことは終わったことと思い込もうとしている自分がいたこと。でも、何十年も経ったその時も、まだ怒りを抱えていたことです。

頭の中できちんと整理して、否定的な気持ちを手放すことが大事だなと思いました。

ということは、未来も脳は区別できないはずです。これからやりたい目標、手に入れたい目標があったら、あたかも手に入れたかのように頭の中で想像してみれば良いのです。その状況を目で見て、聞こえる声や音を聞いて、ワクワク感や達成感などを実際のように感じてみるのです。

NLPのテクニックに「アズイフフレーム」というものがあります。効果抜群のテクニックです。目標を決めたら、ぜひこのテクニックをやってみてください。実現に向けて、一歩前進です。

 2019年10月21日 不言実行の便利なところ 

「男は黙ってサッポロビール」というCMが昔ありました。高倉健さんが出ていたCMです。

中学生、高校生の頃の私は、無口だけれど、行動力のある、そんな高倉健さんのような「不言実行」的な生き方に憧れていました。今、思えば、ただ、カッコつけていたのかなと思います。

成人して、心理学を多く学ぶようになってから、あることに気づきました。

「不言実行」の姿勢は、実現できなくても他人に気づかれない、裏を返すと「出来そうなところだけ言う」ことにもなるということです。

社会人になってから、会社の上司が朝礼で「仕事をしていくには有言実行が必要」と言いました。言うことはきちんと言う。言ったことはきちんと実行する。なるほどと思いました。

自分がやろうとすることは、言葉に表現することが大事だということは、NLPを学んで実感しました。

表現することで、その時の自分の声が自分の耳に入る。それが潜在意識にインプットされる。そうすると、その後、自然に行動できていることに気づいたり、脳が自然に情報収集を始めていることに気づきます。

年始にあたって「今年の目標」を立てるのも、そんな意味がありますね。若い頃から、そんなものは普段からやっていれば良いというような、否定的なことを思っていました。しかし、今年還暦になったと思うと、そんなにのんびりと構えていてはまずいなあと考えるようになりました。

今後の目標を、自分に向かって宣言しようと思います。

1.週に1冊のペースで本を読む → 仕事に活かす。
2.心身医学についてもっと学ぶ → 仕事に活かす。

みっともないのは「有言不実行」ですね。かっこいい事をいっているのに、それを実行しない人をたまに見かけます。「それってカッコ悪いよ」と直接いってあげたいところです。自戒をこめて。